自動車免許を取得したら乗ってみたい憧れの輸入車【FIAT500】

1

 

通称「ハツカネズミ」と呼ばれる「FIAT500」。輸入車の中では最小クラスといえるボディは、全長3,655mm×全幅1,625mm×全高1,505mm 、ホイールベース2,300mmと非常にコンパクトです。

 

どことなくクラシカルなフォルムを持つこのクルマは、1957年に誕生した2台目「FIAT500」を現代の技術でリバイバルをし、2007年に発表されました。輸入車には、このように歴史のあるクルマをリバイバル生産するモデルが多く、「フォルクスワーゲン・ザ・ビートル」や「MINI」などもこれに該当します。

 

今回は、3代目にして最新の「FIAT500C」(※Cは「コンバーチブル」の略)の最高峰モデルである「アバルト仕様」を紹介します。

 

FIAT500」は当初たった15馬力のイタリアの大衆車だった

 

2

 

発売初期の2代目「FIAT500」は、イタリアの街並みに溢れていたスクーター「ベスパ」からの自動車に乗り換えを促すために考案されたクルマで、まさに大衆車でした。たった500ccのエンジンから15馬力という現代では考えられない非力なパワーを生み出す空冷直列2気筒OHVエンジンを後方にレイアウト。それでも、血の気の熱いイタリア人は、車両設計に細部までこだわり、最高速度は95km/hを記録しました。その後、改良を重ね1977年まで通算で約400万台が製造されました。日本では「ルパン三世」の愛車といえばピンとくるかもしれませんね。元々はイタリアの大衆車だったにもかかわらず、その愛くるしい姿から、今でも多くの愛好家が存在するクルマなのです。

 

最新の「FIAT500」が登場したのは、2007年のこと。翌年から日本国内でも販売が開始され、たちまち街の人気者になりました。歴代のクラシカルなフォルムを残しながらも現代の自動車としての安全性、環境性能、そして、イタリア車らしいキビキビとした走りを実現した「FIAT500」。可愛らしく、眺めるだけでも楽しくさせてくれるクルマです。

 

小さなボディは水を得た魚のように機敏に加速する

 

4

 

とても小さなボディにカリカリのチューニングを各部に施し、数倍も大きな敵をやっつける。「でかいだけで威張るんじゃないぞ!」といわんばかりに・……。このようなタイプのクルマがまだまだヨーロッパには存在するのです(通称「ホットハッチ」といいます)。

 

今回、試乗したクルマは「FIAT500」でも最高峰モデルとなるアバルトチューンの「500C」です。アバルト「500C」のエンジンは、直列4気筒1.4リッターDOHCターボエンジン。アバルト「500」よりプラス5馬力アップされ、140馬力を発揮します。先代モデルが当初たった15馬力だったことを考えると、大幅に進化したものです。

 

ダッシュボードに設置されたボタンで「スポーツモード」を選択すると、最大トルクは18.4kgmから、21.0kgmへと一気に跳ね上がる「オーバーブースト機能」が作動し、小さなボディは水を得た魚のように弾かれたような機敏な加速を披露します。

 

試乗を行ったルートには、時速100km/hプラスで流れる高速道路もありましたが、路面をしっかり捉え、直進安定性もバツグン。小さいながら、高速道路の安定性は、国産車には真似のできないものがあります。

 

高速道路を降り、S字カーブが連続する山坂道を走ってみました。これが、思わず笑いが止まらないほど面白く、オーバースピードでコーナーに飛び込んでしまっても、クイッ!と小気味よく旋回します。そのクセになる旋回性能に何度も同じコースを走ってしまいました。上り坂では、パワーのあるクルマには敵いませんが、下りのワインディングでは、ゴーカートフィーリングと言われる「MINI」同様、ドライバーの腕次第では、最速です。

 

オープンロードでは、ターボの存在を明確に感じられます。最近では、ダウンサイジング化により、エンジンを小排気量にし、ターボチャージャーでパワーを稼ぐため、ターボチャージャーの需要が高まっています。例として「フォルクスワーゲン」の場合、黙っていればターボチャージャーの存在を感じさせないほどですが、このアバルト「500C」では、エンジン回転が3000rpm辺りからトルクがグイグイ立ち上がり、ブースト計の指針が跳ね上がります。しかし、昔の前輪駆動の“ドッカンターボ”のようにステアリングの操舵感が抜けてしまうようなことはなく、安定性を保ちながら、適度な刺激を味あわせてくれます。

 

エンジン音の演出は、さすがフェラーリの国イタリアの技

 

3

 

1tほどのボディに140馬力の組み合わせはやはり伊達ではなく、アクセルを踏み込むと、少々視認性に欠けるデザイン重視のメーターは驚くほどの速度にあっさり達しています。ハイスピードのクルージングでも、乗り心地は意外なほどよく、クルマが跳ねるような挙動は皆無で、極めてボディ剛性が高い事が実感できました。日本では試せませんが、この小さなボディで最高速度は205km/h以上に達します。

 

エンジン音の演出は、フェラーリの国イタリア。退屈なクルマは造りません。低速では「ボボッ……」というボディサイズからは想像も付かない重低音を響かせ、回転数が高まるにつれて「コーンッ!」という抜けのいい音色に変わります。シフトアップの度にブローオフバルブの「シュルルン」&スロットルを戻すとアフターバーンの「バフッ!」という音にチューニングエンジンであることを実感できます。
国産コンパクトカーでは、実用性、燃費重視でクルマ本来の走る楽しみが希薄になっていますが、輸入車では、このような部分も重要視されクルマ造りをしています。デザイン性、所有する満足度など輸入車には多くの魅力が秘められております。これからも、そんな輸入車たちを数多くご紹介しますね。お楽しみ。

 

profile

 

筆者:外川信太郎/モータージャーナリスト

2000年に独立後、輸入車専門誌、新聞コラム、自動車情報ウェブサイト、キャッチコピーなどの手がけるモータージャーナリスト。年間百数十台の輸入車のインプレッションを行い、輸入車の素晴らしさを伝えている。以前はヨーロッパでレーサーとしての活動もしていたため、安全運転への関心も高い。